「フードロスってそもそも何のこと?」
「フードロスが進むとどんな影響があるの?」
世界では、発展途上国を中心に食べるものがなくて困っている人が大勢います。その一方で、先進国ではまだ食べることのできる食品が大量に捨てられている、いわゆるフードロスが起きているのが現状。
「食べものを粗末にしてはいけない」と教えられますが、大切にしなかったときにどのようなことが起こるのかまで知っている人はごく少数です。
そこで今回は、フードロスがこのまま進んでいくとどんな影響があるのかや実際に世界ではどのくらいのフードロスがあるのかを解説していきます。
この記事を読めば、現在のフードロスがいかに深刻かを知ることができますよ!
フードロス(食品ロス)とは何を指す?
フードロスとは、まだ食べられる状態の食品を捨ててしまうことを指し、食品ロスとも言われることもあります。
フードロスには大きく2種類あり、事業系フードロスと家庭系フードロスに分けることができます。
事業系フードロスは、余って次の日に持ち越せない食品を捨ててしまうことがほとんどです。廃棄という言葉を使って、賞味期限の近いものや売れ残りを捨てることは珍しくありません。
家庭系フードロスは、家で食品を腐らせてしまったり、食べ残しをしてしまったりすることが多いようです。
家庭でのフードロスは一見少ないように感じるかもしれませんが、世帯があるだけ積み重なるもののため、数字で見ると膨大な量となります。
どのくらいの量のフードロスがあるのかは後ほど解説していきます。
フードロス(食品ロス)はSDGsの目標12
世界中で問題となっているフードロスは、持続可能な開発目標であるSDGsの目標12にも掲げられています。
世界では人口が増加し続けており、近い将来食べるものが行き渡らなくなってしまうのではという懸念があるほどです。
SDGsで取り上げられているフードロスですが、これは単純にフードロスの量を少なくしようという意味だけではありません。
例えば、捨てすぎの前に取り過ぎということも考えられます。魚であれば漁獲量を調整することでフードロスを減らすだけでなく、魚が一定数以上生存できるようにして、継続的に取り続けるようにすることもできるのです。
ほかにも、廃棄をした後の環境負荷への配慮や、発展途上国へ食品をどのように行き渡らせるかなどにも着目しています。
フードロス(食品ロス)が私たちに与える3つの影響
大量のフードロスを続けていると、その影響が私たちに返ってきます。
”今すぐに”というわけではありませんが、時間をかけてじわじわと大きな問題となってくることは間違いないでしょう。
実際に近い将来フードロスが私たちに与える影響は大きく3つ考えられています。
- 世界の食料不足が加速する
- 環境負荷の増大
- 廃棄にかかる経済的な損失
1.世界の食料不足が加速する
世界では、約8億人もの人々が食料難に陥っていると考えられています。
今現在でも十分に行き渡っていない状況の中、世界の人口が今のまま増え続けると、さらに食料不足は加速することは言うまでもありません。
実際に2050年には人口が96億人に達し、20億人の人々が食料難になるという推計も出ています。約5人に1人が食べるものに困ると考えると他人事ではないですよね。
限られた資源の中で、ムダをなくしていくことを心がけることで、食料不足も防げる可能性が十分にあるのです。
2.環境負荷の増大
フードロスが環境負荷にどのように関わるのか疑問に思う人もいるかもしれませんね。
しかし、フードロスと環境負荷には大きな関りがあります。
まずは、廃棄された食品を処理するのに大量のエネルギーが使われているということ。これを減らすだけでも環境への負荷は軽くなるはずです。
次に、廃棄される際に一緒に捨てられる、容器や袋の節約につながるということ。フードロスが減ることで、ムダなプラスチックなどの資源を使うこともなくなります。
さらに化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出も削減することができるのです。
環境負荷にそんなに関係ないと思われているフードロスも、実は大きな影響を与えているということが分かりますね。
3.廃棄にかかる経済的な損失
フードロスが与える3つの影響の中で最も直接影響があるのが、廃棄にかかる経済的な損失かもしれません。
一般的な家庭ごみの場合は、各自治体が無料で収集をしてくれることがほとんどですが、事業者が出すごみは重さに応じて料金を支払う必要があります。
当然、廃棄量が多くなればなるほど、支払う金額も大きなものに。この廃棄料は働いている人の給料、さらには商品の価格にも少なからず影響してくるのです。
フードロスが多くなるほど、労働者、消費者ともに知らぬ間に負担が大きくなると考えると他人事ではありませんね。
フードロス(食品ロス)は世界中で大きな問題に
フードロスはSDGsでも組み込まれるくらいに深刻な問題となっています。
日本だけでなく、世界中でフードロス削減の取り組みが始まっていることからも、事態の深刻さは分かりますね。
実際に世界、そして日本ではどのくらいの量のフードロスがされているのでしょうか。
このあたりについても見ていきましょう。
2021年の世界のフードロス(食品ロス)は9億トン!
UNEP(国際連合環境計画)が発表した「UNEP Food Waste Index Report 2021」によると、2021年の世界のフードロスは約9億トンに達しています。
フードロスには事業系フードロスと家庭系フードロスがあると説明しましたが、世界のフードロスの6割は家庭系フードロスだとされています。
企業による大量破棄の方がフードロスとしてのイメージが強いかもしれませんが、家庭でのフードロスの方が多いというのが現状です。
もしも、世界のフードロス量である9億トンを食糧難で苦しんでいる8億人に配ることができれば、1人あたり1,125kgになります。
現実はこんなに簡単な話ではありませんが、これだけでも世界の食糧難は解決されるのです。
2021年の日本は世界で14位のフードロス排出国
「毎日お茶碗一杯分」この言葉が示すのは何のことだと思いますか?
このお茶碗一杯分というのは、日本人1人あたりの毎日のフードロス量です。2021年の日本でのフードロス量は約800万トン。国民1人当たりのフードロス量は年間64kgに及びます。
物や食べものを大切にするイメージのある日本ですが、世界では14番目にフードロス量が多い国なのです。
また、国ごとのフードロス量では14番目ではありますが、国民1人あたりの廃棄量では、1位の中国と同等となっています。
あなたの想像していた日本のフードロス量と比べると、結果はどうだったでしょうか。お茶碗一杯分捨てているということを考えると、もっと大切にしなきゃいけないなと感じますね。
フードロス(食品ロス)の影響を少なくするためにできること
フードロスは長い年月をかけて、じわじわと影響が出てきます。
今日捨てた食品のせいで明日どうにかなるということはありませんが、未来の子どもたちのためにも今からできることを少しずつ始めることが大切です。
- 必要のない食品はなるべく買わないようにする
- 食べられる部分は食べきるようにする
- 残してしまったものは次の日に食べるようにする
パッと思い浮かぶことだけでもすぐにできることばかりです。一人ひとりが意識することが大切になってくるため、今日から心がけていきましょう!
フードロス削減のためにできることは、こちらの記事で詳しく解説しています。
→(公開後に挿入)
まとめ:SDGsでも取り上げられるフードロスの影響は近い将来自分たちに返ってくる
フードロスを続けていると、将来的に私たちが困ることになります。
単純に食料が行き届かなくなるのはもちろん、今食べられている物が食べられなくなる可能性もあるでしょう。
そうならないようにするためにも、SDGsがあり、世界でフードロスへの取り組みが始まっています。
最後に今回の記事をまとめておきましょう。
- フードロスとは「まだ食べられる状態の食品を捨ててしまうこと」
- フードロスはSDGsの目標12に掲げられている
- フードロスが進むと将来的に私たちに影響が出る
- 2021年の世界のフードロス量は約9億トン
- 2021年の日本のフードロス量は約800万トン
- 国民1人あたり毎日お茶碗一杯分を捨てている計算になる
誰かが意識してくれるのではなく、自分から始めることが大切です。フードロスを少しでも削減できるように、できることを考えてみてくださいね。