「森林破壊が進むとどのような影響が出る?」
「このまま進んでしまって大丈夫?」
森林破壊と聞くとなんだか大きなことすぎて、自分には関係ないようにも感じてしまいます。
確かに、目に見えて森林が減っているわけではないため、実感するのは難しいかもしれません。
しかし、森林破壊は世界中で着々と進んで、地球や人間に影響を与えているのです。今回は森林破壊がどのような影響を与えるのかについてご紹介していきます。
森林破壊とは?進み続ける現状
森林破壊とは、人間の手によって世界中の森林の面積が減少していることを指します。
主な原因としては、森林伐採や森林火災などがあげられており、少しずつ減少していっているのが現状です。
森林破壊の怖いところは、森林が減るだけではなく、地球や人間に影響を与えてしまうということ。
森林が持っている浄水や二酸化炭素の吸収、生態系のバランス維持といった働きができなくなることで、本来のあるべき姿が失われつつあると言えるでしょう。
では、現状はどのくらいのペースで森林破壊が進んでいるのでしょうか。
1990〜2020年で失われた森林面積は約1億7,750ヘクタール。膨大過ぎてイメージしにくいかもしれませんが、毎年平均592万ヘクタールも失われていることになります。
さらに細かく見ると、1分間で東京ドーム約2.5個分の森林がなくなっています。
森林破壊が地球に与える3つの影響
森林破壊がどのような影響を与えるのか、実際に見てみましょう。まずは地球に与える影響から3つピックアップしました。
1. 大気汚染:森林による大気浄化能力の低下
2. 地球温暖化・自然災害:二酸化炭素の吸収が少なくなる
3. 生態系の変化:森林の減少と共に個体数の減少
地球の環境が変われば、当然人間だけでなく、多くの生物にも影響してきます。森林が担っていた役割がどれだけ大きいものなのか、再認識しておきましょう。
大気汚染:森林による大気浄化能力の低下
森林には、大気中の有毒な物質を吸収してくれる役割があります。吸収されたガスなどは、無害化され循環していくというのが今まででした。
しかし、森林が減少することによって、この大気浄化機能が失われつつあります。
大気汚染が進めば、酸性雨の増加や光化学スモッグの発生につながり、植物をさらに枯らす悪循環に陥ってしまう危険性があるのです。
この調子で森林破壊が進んでいけば、豊かな地球の自然もどんどん失われていくことになります。
地球温暖化・自然災害:二酸化炭素の吸収が少なくなる
森林の大きな役割としてイメージしやすいのが光合成による二酸化炭素の吸収。
森林は温室効果ガスでもある二酸化炭素を吸収し、酸素を作り出す機能を持っています。
二酸化炭素の量が減ることによって、地球温暖化を抑えることができ、森林火災や海面上昇などを防いでいるとも言えるでしょう。
地球温暖化が進めば、暑さは猛威を振るい生活しにくくなるだけでなく、海面上昇によって海に沈んでしまう地域も増えていきます。
そのほかにも、地球温暖化はサンゴ礁の白化現象などにも影響を与えると考えられています。
生態系の変化:森林の減少と共に個体数の減少
森林破壊が進むことで、長期的に生態系へも影響を与えていきます。
国立環境研究所の調査では、地球にいる全生物の半分以上が森林に生息していると言われています。
森林破壊が進めば、当然住む場所がなくなり、絶滅や減少の道を辿ることになるのです。また、地球温暖化による干ばつなどが進めば、内陸では飲み水がなくなることも考えられ生態系は大きく崩れることになるでしょう。
実際に2000年時点では15種ほどであった絶滅危惧種も2020年には4,000種を超えています。
森林破壊が人間に与える3つの影響
森林破壊は地球に変化を与えるということは前述した通りですが、地球に変化があれば我々人間にも影響を及ぼします。
では、どのような影響があるのでしょうか。ここでは森林破壊が人間に与える影響を以下の3つご紹介していきます。
1. 疫病や感染症:危険地域の拡大
2. 気候の変動:温暖化や海面上昇
3. 食料生産の減少:紛争に発展する場合も
疫病や感染症:危険地域の拡大
森林破壊が疫病や感染症につながるというのはイメージしにくいかもしれませんが、地球温暖化などが進むことにより、伝染病を媒介する生物が増加することが考えられます。
特に熱帯地域では、顕著に影響がでると考えられており、実際に新たな感染症が流行ってしまっている地域もあるほどです。
現在は熱帯地域への影響が危惧されていますが、このまま温暖化が進めば、日本でもそういった影響がでてくる可能性もあると考えると他人事ではありません。
気候の変動:温暖化や海面上昇
最近、夏が暑くなったと感じる方も多いのではないでしょうか。地球温暖化は着々と進んでおり、暑さが猛威を振るうような日も珍しくなくなりました。
厳しい暑さが続けば、外に出ても熱中症になってしまったり、そもそも外出できない日が続いたりしてしまう可能性があります。
さらに光化学スモッグの発生頻度も高くなり、ますます生活しにくい環境になってしまうかもしれません。
また、海面が上昇していけば2030年には東京が水没してしまうといった研究まであります。
島国である日本において、決して他人事ではない影響のひとつと言えるでしょう。
食料生産の減少:紛争に発展する場合も
森林破壊が進むことで、食料生産の減少にもつながります。ただでさえ地球上の全ての人に食料が行き渡っていないにも関わらず、さらに食料生産が減少してしまえば事態の悪化は免れられません。
さらに、食料がないとなると、食料をめぐっての紛争に発展する可能性も出てきます。
さまざまな対策が打ち出されているものの、決定打となるような対策がなく、近い将来食料生産が人口に追い付かなくなることも十分に考えられるのです。
森林破壊が進んでしまう原因とは?
森林破壊による影響が大きいことは理解しているものの、森林破壊が進んでしまっているのはなぜでしょうか。
原因はいくつかあります。たとえば、森林の成長を無視した森林の伐採。木材は需要もあり、購入したいと考える人は少なくありません。
そのため、目先の売上のことだけを考えて、どんどん伐採してしまうのです。ほかにも、自動車やエアコンの使い過ぎも森林破壊の原因になっています。
こういったことを防ぐためにも、森林認証マークのついている商品を購入したり、できるだけムダなエネルギーを使わないようにしたりすることが大切です。
まとめ:森林破壊が与える影響を知って広めることが第一歩
森林破壊が進んでいるということは、なんとなく知っているという人が多いです。
しかし、目に見えて分かることではないことから、実感がしにくいという側面もあります。
一人ひとりが意識しなければ、食い止めることができない問題だからこそ、森林破壊の現状をより多くの人に知ってもらう必要があると言えるでしょう。
最後に森林破壊が地球や人間に与える影響についてまとめておきます。
【森林破壊が地球に与える影響】
● 大気汚染:森林による大気浄化能力の低下
● 地球温暖化・自然災害:二酸化炭素の吸収が少なくなる
● 生態系の変化:森林の減少と共に個体数の減少
【森林破壊が人間に与える影響】
● 疫病や感染症:危険地域の拡大
● 気候の変動:温暖化や海面上昇
● 食料生産の減少:紛争に発展する場合も